料理人なるには専門学校へ行くべき?それとも就職した方が良い?
「小さい頃から料理をするのが好きで、料理の道に進みたい」「将来飲食店を経営したいから料理を学びたい」「料理人に強い憧れがある」など、動機は様々ですが、料理人を目指すにはどうしたら良いのでしょうか?
調理師学校へ行く
料理の基礎をしっかり学びたい、料理は好きだけどまだ和食・洋食・中華どれを究めていきたいか決まっていない、という人にはお勧めなのが調理師専門学校への入学です。
一般的な調理師専門学校は1年制と2年制があり、どちらを選択しても調理師免許は取得できます。
「じっくりと基礎を学んでから応用力までつけたい、すくに現場に入って活躍できる状態にしたい」と思う人は2年制を選択するようです。
学費は学校によって異なりますが、2年制で200万~400万、1年制ではその半分くらいかかるイメージです。専門学校に行くメリットは和・洋・中幅広く学べる点でしょう。
また、ほとんどの専門学校が就職先を紹介してくれたりと就職に役に立つ情報を提供してくれます。
就職してから調理師免許を取得する
「高校卒業したら今すぐにでもお店で働きたい」「学校に行くお金も時間ももったいない」という人は学校へ行かなくても調理師免許の取得は可能です。
2年間の調理の実務経験があれば調理師免許取得の受験資格を得られるので、2年間働いたあとは独学で勉強して試験に合格するだけです。
料理人になるためには調理師学校に行くべきか?
しかし実際は調理師免許の持っていない腕の良い料理人はたくさん居ますので、面接のときに少しだけ有利になる、というくらいで免許取得だけにこだわる必要はないでしょう。
15年間飲食店で働いてきて、調理師免許が役に立ったことは殆どありません。
学校に行く時間とお金がもったいないと少しでも感じている人は、就職してそこで技術を身につける方が早いと思います。学校で学んだ2年間と、現場で身に着けた2年では圧倒的に現場の方が即戦力になります。
現場は慣れるまでは大変ですが、お金を得ながら学べる環境だと思うと凄いですよね。
就職先・転職先の悩み
就職先を決める時、また転職を考えた時のよくある悩みについて、自分の経験に基づいて書いていきたいと思います。私はアルバイトの経験も含めると15年間で10回以上転職しています。
「そんなに転職して落ち着かないね」とネガティブな言葉をかけられる時もありますが、1か所にとどまって働くことが必ずしも良いとは限りません。
私の場合は、和食のお店で10年くらい働いて経験を積んできたのですが、独立する前にイタリアンやフレンチの勉強もしたくなり、30代半ばにして転職して1年ほどフレンチのお店で働きました。
和食とは全くの別物で一から覚えるのに苦労しましたが、たった1年でも得たものは大きかったので転職して正解だと思っています。
個人店と大型店どちらが良いのか?
例えば和食の料理人になりたい、と思った場合は、個人経営のお店で親方に弟子入りするような形をとった方が良いのか、大手の和食居酒屋に就職した方が良いのか、迷うと思います。
個人店ではその職場の上司次第で、学べる環境が変わります。
「早く一人前になってほしいから、自分の技術を全部伝えたい」という仏のような上司に巡り合えれば、自分の頑張り次第ではすぐに成長することができます。
しかし、まだまだ「見習いは最初は皿洗いからだ、3年働いてから技術は教える、料理は見て盗め」という頑固おやじならぬ昔の料理人気質の人は多いのも事実です。
大型店の場合は人手不足のお店が多いので、早く覚えてもらって人材を育てたいという状況にあることがほとんどです。
実際私が最初に就職したのは個人店で、3年働いたものの下っ端の仕事しかさせてもらえず、料理の味を決める重要なポジションである「煮方」、魚を扱う「板場」を担当することはできませんでした。
しかしその後大型店に入社し、自分が「魚を捌けるようになりたい」ということを伝えたら、入社して1か月で板場に立たせてもらうことができました。
ただ、大型店では出汁を鰹節からとらずに本だしを使ったり、冷凍食品を使うことも多いため、
一から手作りにこだわりたい、大根のつまを桂剝きで作りたいという人には向いてないかもしれません。
時間はかかっても「和食」基礎から学んでお店の味を作れるようになりたい人は個人店、広く浅く「料理というよりも調理」の経験を積みたいのであれば大型店をお勧めします。
転職の回数は少ない方が良いのか?
一般的には転職は少ない方が良いと言われていますが、料理の世界ではそれが一概に良いとは言い切れません。
一度、就職したお店がいつまで経っても皿洗いしかさせてもらえない、料理長がパワハラ、労働基準法を一切守らない、というブラックな会社にあたってしまった場合はすぐに転職した方が自分のためです。「修行が必要」という時代はもう古いのです。
もちろん下積み経験は必要ですが、何年も調理に携われないのは修行とは呼びません。
今でも「昔は1年間じゃが芋の皮むきと米とぎしかさせてもえなかった」「睡眠時間3時間でひたすら鍋磨きした」などの武勇伝を語る料理人は多いですが、忍耐力は養えたとしても、その1年間で料理の技術や経験、何か身についんたのだろうか…と疑問に思ってしまいます。
また、将来独立を考えているのであれば、「このお店でもうこれ以上は学ぶことはない」と感じるところまで極めることが出来たら、新しいジャンルへ挑戦しようと転職することはプラスになるでしょう。
将来どうしたいのかを考えるのが一番の近道
料理人なることを夢見ていざ希望のお店に就職しても、料理人なることがゴールでは決してありません。
そして、ただ料理が好きという気持ちだけで漠然と現場に立っていると30代、40代になってくると体力的に辛くなります。
実際私は30代後半で今だにお店で働いていますが、12時間立ちっぱなし動きっぱなしという日もあり、帰宅する頃にはヘトヘトで毎日栄養ドリンクを飲んで気合いで乗り切っている状態です。
開業資金が貯まらないという理由から独立を先延ばしにした結果であり、もっと早めに人生設計を立てて、経験もお金も貯めておくべきだったと後悔しています。
そうならないためにも、なるべく早めに目的を決めて将来設計を描くことをお勧めします。
独立して自分のお店を持つ
色んなお店を経験しながら開業資金を貯めて、必要な知識や技術を学ぶと良いでしょう。
また、普段からどんなお店が流行っているのか?をリサーチしながら休みの日は美味しいものを食べに行ったり、新メニュー開発を兼ねて自分の料理を家族にふるまったりと、独立前からできることはたくさんあります。
料理長になってお店を仕切っていく
この場合は、あまり職場を転々とするのはお勧めできません。
例えば和食の場合、サラダ場・焼場・煮方・板場といったポジションを全て完璧にこなせるようになり、昇格していく必要があります。
ある程度のリーダー経験があれば、いきなり料理長を任せてもらえる職場もありますので、とにかく一通りの経験を積むことが大切です。
料理研究家としてフリーになる
「料理研究家」と名乗ることは誰にでもでき、資格も必要ありません。今では料理youtuberとして動画配信をしたり、SNSでオリジナルレシピを公開したりと自宅でも活躍することができます。
飲食店に勤めていると、営業時間が長いお店だと勤務時間が長くなります。終電まで働いて、眠る時間を確保するのでやっと…という人も多いのが現状です。
自分の味やレシピを開発する時間をとことん作りたい、という方は飲食店に就職することよりも、アルバイトで短時間働いたりと自分の時間を優先できるようにした方が良いでしょう。
どんな道であっても共通して言えることですが、将来の目標を明確にしてから働くことが大切です。「将来のことはまだわからないし漠然としている」という人は働いている中で、自分には何が得意で、何が好きかを見極めていくと自然と見えてくると思います。
ある程度の年齢になってから後悔しないように、「人生設計」を立てながら試行錯誤をして、自分の好きな料理の道へ突き進むことをお勧めします。
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